尺八には「琴古流・都山流・錦風流・上田流・竹保流・西園流・村治流 etc....」と様々な流派が存在します。ここではその中でも代表的名な2つの流派「琴古流」と「都山流」の簡単な歴史をご紹介したいと思います。
「琴古流」は江戸時代に活躍した黒澤琴古(1710-1771)を流祖とした流派です。黒澤琴古はもとは黒田藩(現在の九州福岡市)の藩士でしたが浪人となり、その後江戸に出て一月寺、鈴法寺両寺の吹合指南役となりました。黒澤琴古は各地の虚無僧寺を巡り尺八本曲の集め、琴古流本曲としてまとめました。黒澤琴古という名前は三代で途絶えますが、その後の琴古流は久松風陽、吉田一調、荒木古童などの名手によって発展していきました。初代黒澤琴古から現代まで、その歴史は約300年に及びます。当教室の流派はこの琴古流となります。
そしてもう一つの流派「都山流」は、明治時代に中尾都山という名人が立ち上げた一大流派です。中尾都山は明治9年、大阪の枚方に生まれました。大阪の名手、近藤宗悦の影響を受けたとされ、虚無僧修行ののちに大阪市天満に道場を開きます。その後、「慷月調」をはじめ従来の古典本曲にない「都山流本曲」を次々と作曲、地歌・箏曲にも新たな尺八手付を加えて、独自の記譜法による楽譜も出版します。また、試験制度や評議員制度を取り入れた当時の尺八会にはない組織運営で、中尾都山は一代にして琴古流にならぶ一大流派を築き上げました。都山流の創立記念日は天満に道場を開いた日、1896年2月15日とされていますので、新しい流派とはいえ、すでに120年以上の歴史を誇ります。
今回は2大流派の琴古流・都山流を取り上げてお話ししましたが、このほかにもたくさんの流派があり、それぞれの流派にはそれぞれの特徴と魅力があります。
今回はこの辺で。次回は具体的な琴古流と都山流の違いについてお話ししようと思います。
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