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楽譜の読み方② 〜琴古流編・唱譜〜

前回は「付点法」について説明させて頂きました。今回は実際に楽譜を読んでいきたいと思います。


こちらは前回と同じ楽譜を拡大したものです。


【琴古流尺八譜 六段之調】



一番上には「初段」と書いています。「六段之調」はその名前の通り六つの段(構成単位)から出来ています。


「初段」と書かれたその下から曲が始まるわけですが、最初から見て「ツレゝツロゝ」と書かれているのはお分かりになるでしょうか?


一番最初の文字は「ツ」です。

すぐ下の「レ」に比べて少し小さく、三重の線で「レ」と繋がっています。これはこの「ツ」が装飾音ということを表しています。また次の「レ」は、はらいの部分が長いですので「一(いち)」に見えてしまうかも知れませんがカタカナの「レ」です。

またその右側に「呂」という漢字がありますが、これはこの音が「呂音(低い音)」だということを表しています。


そして次の「ゝ」は前と同じ音を表しています。つまりここでは上と同じ「レ」となります。


「ゝ」の次にまた「ツ」が出てきます。この「ツ」の右に「メ」と書かれていますが、これはこの「ツ」が「メリ音」だという印です(「メリ音」については別の機会にご説明します)。また最初の「ツ」と同じく小さく書かれていますので装飾音として扱われます。


その下は「ロ」ですね。


そして再び「ゝ」が出てきますが、ここでは前の音が「ロ」ですので、この音は「ロ」となります。


そして次に小さな「ハ」が出てきます。これは今までの小さな文字同様に装飾音となります。


そして「リ」、「ロ」と続くのがわかると思います。また「ロ」の右には「甲」と書かれています。これは最初の「呂」と同じく音の高さを表す漢字でこの「ロ」は「甲音(高い音)」ということを示しています。


さて、ここまで文字の読み方を説明させていただきましたが、ここからが本番、「付点法」で書かれたこの楽譜を読んでいきたいと思います。

《楽譜の読み方①》で左右に点を追いかけてリズムをとっていくとお話ししました。


まず最初は「右点(表拍)」=「右手」、「左点(裏拍)」=「左手」として左右の太ももを叩いてリズムをとって見ましょう。


少し分かりづらいかもしれませんが、画像にすると以下のようになります。


元の楽譜の前半には左側に点はありませんが、右(表)→左(裏)→右→左→右→・・・と順に追って行くため左側にも点があるものとして考えます(紫の点)。

右の点と左の点の距離(赤色の線)が毎回違うために感覚的に読みづらいですが、まずは点を目で追いながら太ももを右→左→右→左→右→・・・とゆっくりとしたリズムで叩きます。


リズム良く点を追えるようになったら今度は口に出して歌ってみましょう。これを「唱譜」と言います。最初は音程まで取るのは難しいですので、リズム良くカタカナの音名を唱えるだけで大丈夫です。


唱譜が正確にできるようになれば全く知らない曲でもスムーズに譜読み、演奏ができるようになってきます。


実際の演奏では太ももを叩けませんので目線のみ、もしくは身体や楽器自体を僅かに左右に振って点を追いかけ、一定のリズムをキープしながら演奏します。


それでは、今回はここまで。次回は都山流の楽譜の読み方について解説したいと思います。


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